(つづき)
今回は参考文献の紹介だけ。
ざっと。
前回の終わりの方でターナーの論文(の頭の部分)に対して疑問に思ったことを書いた。
けど、それらの疑問は実は他の論文でいくらか答えられてもいる。
このことを先に言っておかねば、と思いまして。
たとえばターナー自身、下記の論文で、自らのリアルセルフ論を「True Self Method」という方法を用いることでデータ的に裏付けている。
ここで「制度から衝動へ」という説は大枠で支持されている。
● Turner, Ralph H., and Jerald Schutte, 1981, “The True Self Method for Studying The Self-Conception,” Symbolic Interaction, 4(1): 1–20.
またその翌年(ターナーの「リアルセルフ」論文からほぼ10年後)に発表されたスノーとフィリップスの論文でも、ターナーの説が再検証されている。
この論文でも、学生を対象としたテストによって「制度から衝動へ」という説は概ね支持されている。
● Snow, David A., and Cynthia L. Phillips, 1982, “The Changing Self-Orientations of College Students: From Institution to Impulse,” Social Science Quarterly, 63(3): 462-76.
つまりターナーの説は、後からにせよ、それなりに裏付けが得られているということである。
これら2つの論文がおもしろいのは、「制度から衝動へ」の、さらにその先にふれている点である。
いずれにおいても示されるのは、「衝動的自己」が二分化する見解である。
これについてはまたちゃんと論文を読み直してから書きます(きっと)。
もともとこれらの論文については、前回のターナーの論文をひととおり紹介したのち、それを受けてこういう論文もありますよ、という形で読み直しつつ書こうと思っていた。
けど、それだと遅くなるし書けなくなるかもしれないので、先に紹介だけしてしまうことにしました。
前回のターナーの論文が単に思弁を弄しているだけ、と思われてもいけないので。
◆
あと日本語文献も紹介しておきます。
これらも同じように、ちゃんと読み直してから書くつもりだったけど、先に紹介だけ。
ターナーの説をめぐっては片桐雅隆先生がいくつかの著作のなかで丁寧にレビューされています。
というかこれでターナーのことを知りました。
確認しているものを列挙するとこんな感じです。
● 『意味と日常世界――シンボリック・インタラクショニズムの社会学』(1989年)・・・第6章
● 『変容する日常世界――私化現象の社会学』(1991年)・・・第4章
● 『自己と「語り」の社会学――構築主義的展開』(2000年)・・・第4章・第7章
● 『自己の発見――社会学史のフロンティア』(2011年)・・・第4章
もしリアルセルフ論が気になった方はぜひこちらをご覧ください。
スノーとフィリップスの論文についても書かれています。
あともう1つだけ。
最近見つけました。
● 船津衛『自分とは何か――「自我の社会学」入門』(2011年)・・・第4章
船津先生は他に、G.H.ミードについて多く研究書を出されています。
というわけで、今回はこんな感じで。
参考文献の紹介でした。
(つづく)
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